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散らかった机の上
ライトファンタジー小説になるといいなのネタ帳&落書き帳
Admin / Write
2024/05/06 (Mon) 02:35
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2011/07/09 (Sat) 04:58

「・・・・・・ル、ルェート・・・・・・Блζ=лбζ・・・・・・」
「んー、それは多分、бζ=л」 じゃないかなぁ?」
「あ、そっか」
「そのあたり、活用が難しいよねぇ。私も昔、おぼえるの大変だったよ」
ラングリーに魔法語の本を借りてから、一ヶ月が経った。
夏の暑い盛りを乗り越えて、ようやく涼しい風が吹き始めた今日この頃。リームは休みの時も店番をしている時も、常に魔法語の本を片手に勉強していた。
相変わらず暇な雑貨屋の店内で、カウンターの椅子に腰かけて勉強しているリームを、ティナは微笑ましく見守っていた。
「魔法語と記述魔法語の違いは分かりやすいんですけど、魔法語と精霊語が似ているようで全然違うところもあったりして、ごっちゃになるんです。ティナはライゼール王国の出身だから、精霊語は小さい頃からできたんですか?」
ライゼール王国はクロムベルク王国から北の海を渡った先にある国で、精霊派<エレメンツ>が国教だったはずだった。精霊使いも多く、精霊語もずっと一般的に違いない。しかし、ティナは首をふった。
「ううん。私は田舎の村で育ったから、そもそも読み書きできる人も少なかったし、精霊使いも魔法士もほとんどいなかったの」
「そうなんですね。やっぱりティナは、魔法士になるために都会に出たんですか?」
「いや、村で唯一の魔法士だった先生に教わったんだ。でも途中でお母さんが病気になっちゃったから、治療法を探すために、見習いのまま風従者になって村を出たんだけどね」
風従者は、一定の住まいを持たず、自分の技術や資質だけを頼りに旅をして暮らす人々のことだ。いわゆる何でも屋のようなもので、浮浪者のような人から騎士のような身なりの人まで様々だ。そういえば、フローラ姫からティナは昔風従者だったらしいと話を聞いたおぼえがある。
「それで、お母さんの病気は治ったんですか?」
「うん。無事病気も治って、前よりも元気・・・・・・元気? うん、まぁ元気といえば元気になったかな」
微妙な言い回しだったが、ティナが笑顔だったので、リームは安心した。
しかし、こうティナの話を聞いていると、人間かどうか疑っていたことが完全に間違いに思えてくる。作り話めいたところはまったく感じない。
リームはついまじまじとティナを見てしまい、それに気がついたティナはちょっと勘違いしたらしく、軽く片手を振りながら言いつくろった。
「あ、大丈夫よ、ほんとに元気だから。それで、リーム、明日ラングリーのところに行くってことでいいんだよね?」
「はい。この前、魔法の鳥と話して、だいぶ魔法語おぼえたことは認めてもらいましたから。やっとこれからが本番です。なんでもフィードの感知と魔力の広げ方?をやるとか言ってました」
「あぁ・・・・・・そうなんだ。うん、まぁそうだろうね・・・・・・」
リームの言葉を聞いたティナは、何故か気まずそうな表情をした。なんとなく視線をナナメ上にさまよわせている。リームにはその理由がまったく見当つかなかった。
「なにか問題があるんですか?」
リームが率直に聞くと、ティナは表情はそのままに視線をリームに戻し、言葉を選びながら言う。
「まぁ、なんていうか・・・・・・ラングリーから聞くかもしれないけど、たまに私の周りでは魔法の力が正常に働かないかもしれないから・・・・・・習ってきても、ここで練習するのは難しいかも」
「えっと、それってどういうことですか?」
「うーん、なんだろ。伊達に不思議な雑貨屋じゃないっていうか、まぁ不思議じゃなくなるのが目標なわけだけど、現時点では難しい・・・・・・かも。まぁ、そういう魔法があるって思ってくれれば」
魔法の力が正常に働かなくなる結界のような魔法をティナが使っているということだろうか? だったらそう言ってくれればいいのにとリームは思ったが、そう言わないということはそれは正しい表現ではないのだろう。
正直まったく分からなかったが、リームはとりあえず分かりましたと答えるしかなかった。
人間のようにしか見えないのに、時々こういうところが怪しさ満点の、相変わらず正体不明な謎多き店主だった。


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2011/07/05 (Tue) 05:45

どんっ、とリームの目の前に積まれたのは、分厚い4~5冊の本だった。どれも布張りのしっかりした装丁で、1つ1つが片手で持ち運ぶのは大変そうなほどの重さに見える。
「基礎魔法語、記述魔法語、精霊語。発音に特化した教本に、初歩の魔法陣形式。とりあえず、これをすべておぼえろ。文字を知らないと話にならないからな」
「分かりました。この本は持って帰ってもいいんですか?」
「あぁ、良いぞ。ただ、城の蔵書から借りてきたものだから、ちゃんと返すようにな」
宮廷魔法士ラングリーの執務室は、クロムベルク城の中庭に建つ塔の上にあった。塔にはいくつか部屋があるらしいが、リームがいるのはその最も高い位置にある部屋だ。正面に飾り格子のついた窓と、その手前に磨き上げられた大きな木机。左右の本棚には大量の本と巻物、アミュレットのようなもの、そして何故かレースで飾られた人形や淡いピンク色の花飾りなど、似つかわしくないものがところどころに置かれていた。
中央の机以外に、片側の壁沿いに長細い机があり、もともとは小物が置かれていたのだろうか、今は除けられて空いた場所をリームは使っていた。
「じゃ、がんばれよ」
軽く右手をあげてそう言うと、ラングリーは自分の机に戻る。リームは重い魔法語の教本の1冊を手に取り、ぱらぱらと中身を見て、ラングリーに言った。
「あの。こういう勉強はうちでもできますから、ここに来ている間に、もっとこう・・・・・・実践的なこと教えてほしいんですけど」
『青』になるために宮廷魔法士ラングリーのもとで魔法を教わることになって、リームは自分なりに今まで独学で調べてきたことを復習してきた。この腹黒宮廷魔法士のことは今でも気に食わないし、飄々とした笑顔は馬鹿にされているようで腹がたつけれど、その魔法の技術だけは素直に認めている。どんなことを教わるのだろうと、期待していたし不安もあったし、でも『青』になるために絶対負けるもんか!と気合いを入れてきたのだ。
それが、一番に渡されたのが語学の本。そして放置。正直、拍子抜けだった。本を借りられるのはありがたいけれど、せっかくティナに送ってもらってまで来ているのだし、ここでしかできないことをやりたい。
ラングリーは書類らしき紙束から視線をあげ、相変わらずの人を小馬鹿にしたような(とリームには見える)微笑みで言った。
「聞いてなかったのか? 話にならないんだ。ペンの持ち方も知らないやつに、恋文の書き方を教えられないだろう? まず、ペンを持つ。で、字が丁寧に書ける。内容はそれからだ」
「よく分からない例えですけど、自分でできる勉強は、うちでやってきます。ここに来れるのは週に1度くらいなんですから、もっとためになることを教えてください」
「おいおい、それが人にものを教わる態度なのか? 自分の娘じゃなかったら絶対弟子にしないな」
「誰が娘なんですか!」
叫んでしまってから、にやにやと笑っているラングリーを見て、つい乗せられてしまう自分を悔しく思う。本当にこいつは性格が悪い。こっちだって、『青』になるためじゃなかったら、絶っ対に弟子入りなんてしないんだから。
「・・・・・・本を読むだけなら、ここにいる必要ないですね。帰ります。おぼえてきたら、ちゃんと教えてくれるんですね?」
「もちろんだとも。『青』の試験なんて簡単に通れるくらいのことは教えてやるさ。教えてはやるが、身につけられるかどうかはお前次第だ」
「必ず身につけて、『青』になってやります!」
はっきりと断言したリームに、ラングリーは満足げにうなずいた。椅子から立ち上がると、細身の銀の杖と巻物をひとつ持ってリームの机に近づく。
「ティナ・ライヴァートはまだ迎えに来ないだろう? 俺が送ってやろう。本は俺が持つから、ちょっとこれを持っていてくれ。下の部屋に移動するぞ」
渡された巻物と杖を持ち、ラングリーのあとに続いて部屋を出るリーム。銀の杖は細いわりに重量があった。よく見ると表面には細かい呪文が刻まれている。なんとか意味の分かる部分はないかと、目をこらして読んでみたが、何一つ分からなかった。
ひとつ下の階層の部屋は窓がないらしく、扉を開けても薄暗い。ラングリーが入り口横の壁に触れて短い呪文を唱えると、いくつかの魔法の明かりが部屋を照らし、そこには床一面に大きな魔法陣がかかれていた。
「汎用魔法陣だ。あえて記述を未完成にして使用用途を広げている。空間移動の魔法の大部分はそっちの銀の杖に入っている。まぁ内容は分からんだろうが、流れだけでも見ておけ」
ラングリーは魔法陣の中央に魔法語の本を積み置くと、リームをその近くに呼び、杖と巻物を受け取った。ラングリーが呪文を唱えはじめると、床の魔法陣の線に沿って流れるように白い光が広がっていく。呪文が続くにつれて、その光は淡い紫色に変化し、眩しいほどの強さになった。そして、軽い浮遊感とともに、アメジスト色の光の向こう、石造りの部屋の風景が水面のように揺らぎ、別の景色に置き換わる。明るい日差しの下、通りに面した二階建ての店。青地に黄色の文字で書かれた看板。雑貨屋ラヴェル・ヴィアータだ。
「空間移動の魔法が扱えるようになれば、魔法士としてはエリートだな。大貴族や商業組合、神殿、どこからも引く手あまただ。あっという間に城が建てられるほどの稼ぎになるぞ。そこらの魔法士じゃ空船の運転士がせいぜいだからな」
「え? なんでおじさん、一緒に来たんですか? 私、本くらい持てますよ」
リームの疑問に、ラングリーは軽く呆れた溜息をついた。
「お前なぁ、ティナ・ライヴァートを基準に考えるなよ。人を対象にした空間移動の魔法は、術者も一緒に移動するのが当たり前だ。途中で何かあったら取り返しがつかないだろ」
いつもティナに一人で移動させてもらっているリームとしては、いまひとつ納得できなかった。移動が一瞬すぎて、途中で何かあるという事態が想像できない。そうですか、とだけ答えて、重い4~5冊の魔法語教本を両手でかかえた。
ちょうどその時、雑貨屋の入口が開き、噂のティナが顔を出した。
「リーム、ラングリー! どうしたの。早かったのね」
「いえ、ティナ殿。リームが自習ならうちでやりたいと言いましてね。あぁ、あと、これはティナ殿に。約束のやつです」
ラングリーがティナに手渡したのは、執務室から持ってきた巻物だった。ティナは封を解いて初めの方を確認すると、わずかに眉をしかめつつもうなずいた。
「分かった。ちょっと時間がかかるかもしれないけど、考えとく」
「よろしくお願いしますよ。じゃあな、リーム」
ラングリーは、リームとすれ違いざまにぽんぽんと頭をなで、両手が本でふさがったリームは、抵抗のうなり声をあげて心底嫌そうに首をぶんぶんとふった。
2011/06/30 (Thu) 23:03
 さて、つらつらと三話の終盤が決まったので、最初から順番に並べてみます。


(1)魔法の勉強。
とにかく魔法語をおぼえろと。起動語だけじゃなくて、起動しないように書いた記述語(起動語を記すとそのまま魔道具になってしまうため)や精霊語(古文書を読むため)もおぼえろと。
あとは簡単な魔法の維持と、フィード感知能力の向上。
こういうのは自分でできるので、もっと教えてもらわなきゃできないようなこと教えてくださいよ、とリーム。
おとといきやがれ(にっこり)なラングリー。

(2)雑貨屋に帰る。
ティナにぐちぐち。あー私も魔法語勉強したなーと懐かしむティナ。
ティナはライゼール王国の出身で精霊派<エレメンツ>だから、精霊語得意だったりするのか?
まぁまぁできる。でも自動翻訳に近い形でおぼえたので、つっこまれると困る。微妙な返答でかわす。

(3)弟子と出会う。
再びラングリーの塔。ミハレットに新人女中と間違えられる。
魔法を習いに来たというと、師匠はオレ以外弟子をとらないと諭される。
うんうん。師匠にあこがれるのはよーく分かるぞ。なにせ世界一の魔法士だからな。ただな、師匠は滅多なことじゃ弟子をとらないんだ。どうやって城の中にまで入ったか知らないが、残念だったな。近衛兵に見つからない内に帰った方がいい。
いや、そーじゃなくて・・・・・・
というところでラングリー帰る。
おぉ、そういえば、お前たち、初めて顔合わすんだったな。
えっ?
リーム、こいつはミハレットって言って、まぁ一応俺の押しかけ弟子だ。ミハレット。新しい弟子のリームだ。仲良くするんだぞ。
新しい弟子!? どういうことですか、師匠! オレの時はあんなに苦労したのに、なんでひょいっとこいつが弟子になれるんですか!!
俺がいつ誰を弟子にしようと俺の自由だろう
そんな! そんなこと! 納得できません!! 師匠!! オレは一番弟子として! こいつが師匠の弟子にふさわしいか試させていただきます!!
んー、まぁ、お前ならそう言うんじゃないかと思ったさ。リーム、こいつを納得させるのは中々大変だぞ。がんばれよ
えええ? ちょっと、待ってくださいよ!?

(4)弟子の試練(?)
場所を移して、塔の外の中庭。
よーしまずは、お前がどれだけ師匠のことを知っているか試験してやろう。
だから、ちょっと待ってってば! 私は好きであいつに魔法を教わってるんじゃないんだから
あ・い・つ・・・・・・? まさか、まさかそれは師匠のことじゃないだろうな!? お、お前は弟子の風上どころか風下にも置けない奴だな!? どういう礼儀作法を教わって育ったんだ!!
(面倒くさい。すごい面倒くさい。なにこいつ)
→でも青になるために宮廷魔法士のお墨付きがどうしても欲しい。才能が無いと断言されたからこそ、それがないと青への道が見えなくなる。
深呼吸。ぐっと腹に力を入れる。勤めて、大人びた声音を出す。
ごめんなさい。確かに言い方が悪かった。私は『青』に推薦してもらうために、あい・・・・・・宮廷魔法士ラングリーの弟子である必要がある。二番弟子でも別に文句はないから、認めてくれない?
お前、『青』に推薦してもらうために師匠の弟子になりたいのか? 動機が不純だ。そんなことでは、師匠の弟子として認められない。
こいつ・・・・・・話にならない。ゆらゆらと怒りの空気をまとって、ミハレットを睨みつけるリーム。気圧されるミハレット。
う、うん。まぁ、お前のがんばり次第では、認めてやらんこともないかなー。
・・・・・・で、何をすればいいわけ・・・・・・?
えーと、まず、落ち着くんだ。呪い殺しそうな視線で人を見るな。魔法士たるもの、いついかなる時でも冷静沈着でなければならないって師匠が言ってたぞ。
とりあえず矛を収めるリーム。
なるべく早く済ませてよね。私はこんなことする暇があったら魔法を習いたいし、あんたもそうじゃないの?
お前、本当に口が悪いな・・・・・・オレはあんたじゃなくてミハレットだ。ミハレット・エフォーク。お前はリームと言ったか。家名は?
家名なんてあるわけないよ。孤児なんだから。
・・・・・・そうなのか、これは失礼を。
憐れみの混ざる視線に苛立ちをおぼえる。丁寧な所作に貴族の影を見て更に嫌悪感をつのらせる。私、こいつ、きらい。オジサンの次ぐらいにキライだ。

(5)
リーム、塔の下層部分であるラングリーの居住部分をきれいに掃除。
手際の良さにあっけにとられるミハレット。
そりゃあお貴族様は掃除なんてなさらないでしょーからぁ? 大変だったでしょ?
魔法の前では皆平等だ。貴族かどうかなんて関係ない。ようはハートだ。師匠を愛する気持ちなんだ!
(砂粒の欠片ほども愛してないけどね)
掃除の次は、差し入れだ。調理場へ行くぞ。師匠はクロッツの焼き菓子が好物なんだ。
調理場のおやっさんはミハレットと顔なじみ。
これはこれは、ブルダイヌのミハレット坊ちゃん。今日もラングリー殿への差し入れかな?
あぁ、クロッツ菓子はできるかな?
え? 自分で作らないんだ。
は? リーム、作れるのか?
坊ちゃん、この子は?
師匠の弟子希望者なんだ。・・・・・・なぁ、オレでも作れるかな?
んー、坊ちゃんに火傷でもされると、あっしらが怒られますからねぇ
いや、そんなことないはずだ。オレは家を出ているんだからな。今日はオレが自分で作るぞ! リームも手伝うんだ。


(6)雑貨屋
へー。で、これ作ったんだ。ほとんど甘くないのね。でも美味しい。
そうなんですよ。ほんと、ミハレットの不器用さには驚きました。貴族って皆あんなに不器用なんですかね?
結局、菓子を作って塔に戻ったら、もう時間でティナが迎えに来ていた。
どうだ大変だろう、と笑うラングリーに菓子を渡して、ティナと帰るリーム。
お土産にと貰った菓子をティナと食べていた。
さっき持ってた巻物、なんなんですか?
あー、あれは、この前、青の人たちの対応をお願いしたお礼にね、ちょっといろいろと。
そういえば、詳しい話は分からなかったが、この雑貨屋が摩訶不思議なのは、全てラングリーのせいだという話でまとまっていた気がする。
オジサンぐらい魔法が使えれば、この雑貨屋が変な理由として充分なわけですか? というか、雑貨屋に変な商品が並ぶのは、ティナが魔法で何かしてるからなんですか?
・・・えーと・・・・・・・まぁ、そんな感じ? かな? あはははは・・・・・・
そろそろ教えてくれてもいいじゃないですか。勉強始めたてなので詳しい魔法の説明されても分かりませんけど、こういう風になんてるんだよっていうくらいは。
・・・・・・うーん。あのね、リーム・・・・・・いろいろと、事情があるの。お願いだから、そのあたりのことは聞かないでくれるかな。
・・・・・・わかりました。
納得がいかない表情。やっぱり魔法士を目指す子には無理だったかな、と、ティナは思う。


(7)塔
待ってたぞ、リーム! 今日も弟子の心意気を教えてやろう!
(なんでいるの・・・・・・)
ため息つきつつも、連れて行かれるリーム。
宮廷魔法士の弟子たるもの、それなりの知性と気品を兼ね備えてなければならない。まずは形からだ。リームの恰好は魔法士としてふさわしくない。
魔法の前では貴族も庶民もないんじゃなかったの?
貴族も庶民も関係なく、魔法士らしい格好すれば皆魔法士さ。
連れて行かれたのは大広間横のフィッティングルーム。貴族たちが宴に出る前に着替える場所。
とりあえずそれっぽいのを用意してもらった。正式なローブは仕立ててもらうといい。
ちょっと待ってよ。どうやって用意したわけ? 服なんてタダじゃもらえないよ。
気にするな。雑貨屋で働いたお金程度ではいつまでたっても手に入らないだろう? 魔法士として稼ぐようになってから返せばいい。オレも家から借りている金はそうやって返すつもりだ。
服は、黒っぽいローブ。なんとなくラングリーを思わせるのが気に食わない。どうせなら青いローブにしてくれれば良かったのにとちょっと思う。

ティナの迎え。どうしたの、それ? 借りてます。いつか返します。
ティナ、ラングリーに巻物を渡す。話は通しておいたから、それで大丈夫なはずよ。
ラングリー、首をかしげつつ受け取る。

(8)塔下の中庭でお茶
晩餐会出席のため、首都に来るフローラ。リームにお茶しない?と誘う。
来てからミハレットが居やしないかと思うが、ラングリーが来るなと言っておいた、らしい。
魔法の勉強は進んでる? あんまり・・・・・・。ほら、ミハレットが対抗心を燃やしててな。
ミハレット・エフォークくんね。大貴族のブルダイヌ家6番目の男の子よ。小さいころからお城をちょろちょろしてたから、すっかりラングリーが気にいったみたいね。 
ああ、なんだか、幸せだわぁー うっうっうっ(泣きだす)
ほーら、フローラ。お前が泣くと虹ができてしまうぞ~
楽しげに呪文をつぶやき、手のひらサイズの虹を作るラングリー まぁ綺麗、泣きやむフローラ
○○○系と○○○系で場を維持して○○系を基本に○○を絡めて起動させる。魔法陣はこの中。分かるか?
分かるはずないこと知ってて言ってるのが、むかつく。


(9)塔
あのさ、いつになったら弟子として認めてくれるの? いいかげん魔法の勉強したいんだけど。
んー、そうだな。リームに足りないのは、師匠の素晴らしさを知らないことだ。師匠がどれだけ素晴らしい魔法士なのか分かれば、きっと青じゃなくて宮廷魔法士になりたいと思うだろう。
・・・・・・あの人がすごいのは知ってるよ。だから教えてもらいに来てるんじゃない。
本人の前では絶対ぜったいこんなこと言いたくないが、本当のことだった。まだ魔法の組み立て方も習ってないけれど、ラングリーが軽々やってることのレベルが違うことは分かる。
いや、分かってない。今日はな、師匠が久しぶりに地下魔法陣で儀式魔法をやるらしいんだ。見に行こう。

(10)地下
扉の前。魔法の鍵がかかっている。呪文をとなえるミハレット。
あれ? いつもはこれであくはずなんだけどなぁ。
地響き。→ つづく


――――

うーん? なんかミハレットくんとの関係が落ち着かないまま終わりそう?

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